遺族年金で暮らせますか
年金相談で「夫が亡くなったら暮らせるだろうか」と心配し、遺族年金の相談を
受けることがあります。
相談を受けるケースは、間もなく年金受給年齢に達する方や年金受給世帯の方で、ご夫婦ともに元気な方の相談が多いです。特に主婦の方の相談が多いようです。
生命保険文化センターが18歳から69歳の男女4千人に聞いた調査によると、「老後生活に不安を感じる」と回答した女性は88%になり、ほとんどの女性が老後生活に不安を感じていることになります。
この中では、ご自分の老齢年金等の公的年金だけでは不十分と感じています。
こうした不安を払拭するには、夫に先立たれた後、もらえる年金はいくらになるのか、生活費はいくらかかるのかなどを試算し準備しておくことが必要でしょう。
Q,支給される遺族年金の種類は
夫に先立たれた後に支給されるのが遺族年金ですが、年金受給年齢の場合は遺族厚生年金が支給されます。
18歳未満の子があれば遺族基礎年金の支給もありますが、高齢時に授かった子や養子縁組等の例外を除き遺族厚生年金の支給となります。
Q,年齢により支給される年金が異なると聞いたが
65歳前はご自分(妻)の老齢年金(老齢厚生年金※)と、亡くなった夫が受給していた老齢厚生年金額の3/4の額のいずれか高いほうの受給となります。
夫婦共に厚生年金加入期間が長い場合を除き、一般的にはご自分の老齢厚生年金額より
遺族年金額が多くなり、遺族厚生年金を選択することになります。
65歳以降は、以下の3通りの計算の中で最も高い金額が支給されます。
①ご自分の老齢厚生年金
②遺族厚生年金
③ご自分の老齢厚生年金額1/2+夫の老齢厚生年金額×1/2
上記の中で最も高い組み合わせの金額に、ご自分の老齢基礎年金額が加算されて支給されることになります。
また、遺族年金には中高齢寡婦加算や、65歳以降に支給される経過的寡婦加算の付加的な加算制度がありますので、要件に該当するか確認してください。
Q,年金見込額を確認するためには
日本年金機構のホームページからも確認できますが、遺族年金が絡みますのでお近くの年金事務所か年金相談センターでの相談をお勧めします。
年金手帳と免許証、又はマイナンバーカード等の身分証明の持参が必要です。
遺族年金額は、ご夫婦で相談する場合はそれぞれの年金手帳と身分証明の持参で問題ありませんが、どちらか一方が相談する場合は相手方の委任状が必要です。
Q,老後の単身生活費はどれくらい必要か
人により違いがありますが、総務省の家計調査によると、60歳以上の女性単身世帯
の一ヶ月の支出平均額は約15万円となっています。
65歳以降の一般的な年金受給月額(ご自分の老齢年金額と遺族年金額の合算額)は、
12万円くらいといわれていますので、月に3万円ほど不足することになります。
それぞれ生活状況により異なりますが、必要経費以外の娯楽費や病気や介護費用など
余裕を持った資金計画が必要です。
概算額の確認でも早ければ早いほうがいいですね。
2016年12月16日