年金繰り下げ制度の改正
年金など社会保障制度の安定を図るために、昨年5月に年金関連改革法が成立しました。
この中で改革の目玉となるのが年金の「繰り下げ受給」の選択肢を拡大することで、2022年4月に実施されます。
Q,年金の繰り下げ受給とは
公的年金の受給開始は、原則65歳ですが、希望すれば受給開始を遅らせることができます。
受け取る期間が短くなる代わりに、月々の年金額を増やすことができ、現在70歳まで遅らせることができます。
年金の増額率は、1か月遅らせるごとに0.7%年金額が増え、70歳まで受給を遅らせると42%(0.7%×60月)年金額が増えます。
保険料を40年間納めた満額での年金の月額は約6万5000円ですが、70歳受給開始の場合は月額約9万2300円(2020年度価格)になります。
70歳で繰り下げ受給を選択した場合、受け取る年金累積総額は82歳で逆転するため、82歳以後は長生きすれば総額で得になります。
何歳で繰り下げしても、12年以上受給すれば総額で得になります。
Q,繰り下げ受給の改正内容は
2022年4月から、現在70歳までの繰り下げが75歳まで繰り下げられるようになります。
この場合、月々の年金額は最大84%増になります。
Q,繰り下げ受給の注意点は
繰り下げ請求してから12年以内に亡くなる場合は、年金受取総額で損をすることになり、また、月々の年金額が増えたことによる医療・介護保険料や所得税が高くなる場合があります。
繰り下げ受給を選んだことにより、年金の加算部分をもらい損ねる場合があります。
近くの年金事務所で相談し、注意点を十分理解したうえで判断することが重要です。
詳しくは「厚生労働省」のホームページをご覧ください。
2021年3月17日