長生き時代の資産運用
長生き時代の資産運用は、年代に応じてある程度のリスクを取りながらの資産運用が必要です。
現役時代は、多少運用で失敗しても、働いて得た収入でカバーすることが可能ですが、年金世代になった場合には難しくなります。
リタイア世代のシニア層の運用は、資産が目減りしない運用が原則となります。
資産形成の基本として、長期・分散・積立による運用があげられますが、ここでは具体的な運用方法として、現役世代で優先的に活用したい税制優遇制度を活かせる資産運用を取り上げてみます。
Q,税制優遇制度活用の資産運用とは
税制優遇制度の運用益が非課税なとなる「iDeCo」「つみたてNISA」「企業型確定拠出年金」がありますが、ここでは企業型確定年金を導入していない企業を考慮し
、「iDeCo」「つみたてNISA」を取り上げてみます。
下記に概要と比較を表示します。
つみたてNISA | iDeCo | |
投資可能期間 | 2018年〜2037年 | 制限なし、掛金拠出は60歳まで |
拠出時の税優遇 | ― | 全額所得控除 |
運用益の税優遇 | 非課税 | 非課税 |
受取時の税優遇 | ― | 公的年金等控除、退職所得控除 |
投資対象商品 | 投資信託(基準あり)、ETF | 投資信託、預金、保険商品など |
主な加入資格 | 口座開設年1月1日で20歳以上の日本居住者 | 60歳未満の公的年金加入者 |
年間の拠出限度額 | 40万円 | 14万4000円〜81万6000円 年金加入区分により異なる |
運用途中の引出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
選択時の主なポイント | ・60歳以上でも積立可能 ・引出し自由 |
・所得控除のメリット大きい
・60歳までの引出し不可で、老後資金向けの資産運用 |
iDeCoは、運用益非課税に加え、掛金が全額所得控除され、60歳まで引き出せないことから、老後資金作りに向いています。
厚生年金に加入していない自営業者は、所得控除の税メリットを活かしながら老後資金を作っていくことを考慮するとiDeCoでの運用が考えられます。
iDeCoへの加入は60歳までなので、早めにの加入をお勧め。
老後資金はiDeCoと、いつでも引き出し可能で目的を限定されないつみたてNISAを並行して行うことが理想でしょう。
Q,資産運用のリスクとは
リスクがゼロに近い定期預金も、預け入れ金融機関の破綻により一定額以上の預金額の一部が戻らないというリスクがあります。
債権や株での資産運用の場合、運用の内容によって投資した資金の運用損益が大きく変動するリスクが生じます。
下記の例は統計学的に考えた、資産運用における上振れ(運用益)と下振れ(運用損)の例です。
<(例)想定したリターン(運用益)を1%、相場変動によるブレ幅を3%の投資信託に100万円を投資した場合>
投資資金の変動が98万円(運用損)から104万円(運用益)の範囲内に収まる可能性は約68%ととなり、相場の変動が3%を超えると、その分運用損益も大きくなります。
投資にはリスクが付き物です、資産運用の目的、資産運用を始める年齢、余裕資金の有無、経済動向を含めた資産運用の基礎知識などにより、リスクが異なります。
資産運用の窓口となる金融機関などには、定期的に訪れて市場の状況や運用経過を把握し、市場の動向に沿った運用に修正することも大事です。
運用後の無関心や、金融機関などへのお任せ管理は避けたいものです。
2020年11月4日