人生100歳時代と「年金繰り下げ受給」

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人生100歳時代の背景と、政府の年金70歳受給の議論を受け、今まで関心の少なかった老齢年金の「繰り下げ制度」への関心が高まってきました。

 

老後の生活を支える公的年金は、65歳からの老齢基礎年金と厚生年金加入者が受ける老齢厚生年金(注)があります。
(注:65歳前は生年月日で支給年齢が異なる特別支給の老齢厚生年金、65歳からかは老齢厚生年金となります)

 

老齢基礎年金は本来65歳から受給できますが、66歳以降70歳までに請求を遅らせ、増額された年金を受け取ることができる「繰り下げ制度」を利用することもできます。

 

<繰り下げ制度利用による年金増額率>

年金増額率=0.7%×(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)

70歳で繰り下げの申し出をした場合は、65歳時の年金額に42%増額した年金額が
終身まで受給できることになります。

 

70歳で繰り下げ受給(42%増額された年金額)した場合、年金受給累積額で考えると、おおよそ82歳以降(81歳11カ月)で繰り下げ制度利用者の年金受給累積額が
、65歳請求者に比べて多くなります。

このため、82歳以降長生きすればするほどにお得な制度ということになります。

 

66歳以降、いずれの月に繰り下げを申し込んでも、11年11カ月後に繰り下げ制度利用者の年金受給総額の方が多くなっていきます。

繰り下げ制度の利用は、66歳以降70歳まで、月単位で申込できます。

 

<注意すべきこと>

65歳時点から受給できる振替加算額には、繰り下げ制度利用による加算は適用されないことと、繰り下げ制度申請まで振替加算額は支給されませんので注意が必要です。

65歳前に送られてくる年金請求書が届いた時点で、年金事務所などで相談してみましょう。

 

振替加算額を加味した繰り下げ年金額等の比較データを出してくれますで、年金受給総額などを比較して判断しましょう。

繰り下げ制度を利用しない理由として、65歳以後の経済的な余裕がない、年金受給総額の反転が12年後となるための長生きリスクへの不安が大きな要因となっています。

 

現在、繰り下げ制度を利用する人は数%と少ない状況ですが、今後平均余命が伸びて人生100年時代が現実味を帯びてくると、繰り下げ制度利用者の増加も考えられます。

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