悩む「退職金の受け取り方」
定年後の生活設計で退職金は大切な生活資金です。まとまったお金で資産運用を考えがちですが、順調に資産が増えるとは限りません。
保有資産と公的年金を含めた老後の生活費を見極めた判断が必要です。
退職金の受け取り方は「全額一時金」「全額年金」または「一時金と年金の併用」での選択があります。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、2013年の退職金の受け取り方法は、全額一時金での受け取りが68.7%、全額年金で受け取りが19.5%、一時金と年金の併用が11.8%で、全額一時金で受け取る方が役7割を占めています。
日本の企業年金において一時金受取の方が、年金での受け取りより税制上有利とされて
いることが指摘されており、上記の調査結果にも影響していると思われます。
Q,退職金の受け取り方の違いは
受け取り方 |
一時金 |
年 金 |
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仕組み | ・退職時に一括で受け取る | ・定期的に分割で受け取る | |
特徴や 注意点 |
ライフプラン | ・多額の資金(ローン等)ニーズに対応 | ・老後資金の計画的な取り崩し |
税制面 | ・退職所得控除の対象 ・他の所得との分離課税 |
・公的年金控除の対象 ・他の所得との合算課税 |
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収益面 | ・預金の金利や金融商品の運用利回り等 | ・企業年金の給付利回り | |
安全・信用リスクなど | ・受取後の浪費・盗難 リスク |
・給付減額されるリスク |
Q,税金や社会保険料の違いは
受け取り方 |
一時金 |
年 金 |
所得税の区分 | 退職所得=(一時金額-退職所得控除(注1))×1/2 | 雑所得=年金額-公的年金等控除額(注2) |
社会保険料 | かからない | 国民健康保険料・介護保険料の対象 |
(注1)退職所得控除
・勤続20年まで1年あたり40万円
・勤続21年以降は1年あたり70万円
(注2)公的年金等控除額
・65歳未満:年金額130万円以下なら70万円
・65歳以上:年金額330万円以下なら120万円
年金で受け取るべきか一時金で受け取るべきかは、退職後のライフプランにおいて悩ましい問題ですが、一時金・年金の併用も考慮し、老後のライフプランの検証をもとに判断すべきでしょう。
2018年11月25日