老後の資産形成「個人型確定拠出年金(個人型DC)」とは
自分でお金を積み立てて、老後に備える「個人型確定拠出年金(個人型DC)」制度が来年1月からスタートします。
専業主婦や会社員も新たに加入でき、現役世代のすべてが基本的に対象となる個人型DCは、老後の生活を支える公的年金の老齢基礎年金や老齢厚生年金に上積みする年金です。
手厚い税の優遇制度もあり、老後の資産形成の手段として広がる可能性があります。
ここでは、入門編として個人型DC制度のポイントをご紹介します。
Q,個人型DCの特徴は
個人型DC制度は毎月一定額を積み立て(拠出額)、この積み立てた資金をもとに金融商品等で運用し、60歳以降に年金等として受け取るものです。
積み立てた資金をどんな金融商品で運用するかは、加入者がそれぞれ判断し、運用がうまくいけば年金額は増えますが、うまくいかなければ減ってしまうことがある自己責任型の年金です。
運用する金融商品は、扱う金融機関で用意されます。金融機関は数多くの金融商品中から、独自にリストアップした商品を加入者に提示し、加入者が運用したい商品を選びます。
提示される金融商品は、元本確保型商品と投資信託などに分かれ、元本確保型は利回りが低いが満期時に元本を下回る恐れがない商品です。
Q,個人型DC制度は今回が初めての制度ですか
個人型DC制度は、今まで老後の資金作りをする制度が手薄だった自営業者や、勤め先に企業年金制度がない人を対象にすでに制度化され運営されています。
現在、26万人ほどが加入しています。
Q,今回の改正で加入できる範囲が広がると聞いたが
今回の個人型DCの改正で加入できる範囲が広がり、国民年金の第3号被保険者被保険者の専業主婦や公務員、企業年金のある会社員も加入でき、新たに2600万人が対象となります。
これでほとんどの人が対象となります。
Q,毎月の積立額は決まっていますか
専業主婦や公務員、企業年金のある会社員など、それぞれ積立額(拠出額)の上限が異なっています。
以下に、今回の改正で新たに加入対象者となる人の拠出限度額を示します。
加入対象者 |
加入企業年金 |
個人型DC拠出月額 |
加入公的年金 |
専業主婦 |
― |
2.3万円 | 国民年金 厚生年金 |
公務員 私学共済加入者 |
年金払い退職給付(注1) | 1.2万円 | 国民年金 厚生年金 |
企業年金のある会社員 | 確定給付企業年金 | 1.2万円 | 国民年金
厚生年金 |
企業型DC | 2.0万円 | ||
企業型DC
確定給付企業年金 |
1.2万円 |
(注1)共済年金独自であった職域加算が、厚生年金に一元化され上限1.5%の保険料を負担する「年金払い退職給付」が設けられました。民間の企業年金にあたるものです
Q,毎月の拠出額を運用する注意点は
個人型DCは、60歳になるまで毎月小額ずつ投資していく仕組みですが、拠出額の運用は自己責任で行います、このため「リスクを抑えた堅実投資」が基本になります。
企業型DCの運用状況が参考になると思いますが、企業型DCの運用状況は元本確保型
が6割弱で運用リスクの伴う投資信託の運用は4割弱の比率となっています。
安全性を重視し、元本確保型で運用する加入者も少なくなく、年金原資増を目指す場合は不安材料として残ります。
Q,個人型DC加入する場合、手数料等はかかるのか
個人型DCを管理する国民年金基金連合会への加入時手数料2777円、委託先金融機関への事務費年768円、その他窓口の金融機関の手数料もかかります。
このため、元本確保型商品だけで運用していると、現在のような超低金下では、利益は上げにくくなります。
2016年11月13日