相続税対策「暦年課税贈与」の活用

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暦年課税贈与による基礎控除110万円の活用は、少しずつでも長い目で見れば大きな節税効果を発揮します。

ただし、贈与は贈与意思の判定が難しいため、贈与契約書の作成など贈与を否認されないための対策を考慮する必要があります。

 

GUM05_CL10028Q,暦年課税贈与の考慮すべきポイントは

効率的な贈与と、贈与を否認されないポイントを挙げてみます。

①現金以外の贈与
現金以外の贈与(株式等)は、その評価額が一番低いものから贈与します。

最も値下がりした時期に贈与すれば、贈与後の値上がりが期待できます。

 

②同時期、同額の贈与には注意する
税務署より贈与を否認されないために、贈与する財産の種類や金額、贈与期間は、毎年変更するようにします。

毎年現金を一定期間、同時期に贈与するような場合は、定期金の贈与とみなされ基礎控除額以内でも一括して贈与税が課される可能性がありますので注意が必要です。

最近は、信託会社等が「暦年贈与信託」等の商品を販売していますので、非課税の認定を確実にしたい場合は、相談することも一つの方法です。

 

③贈与契約書を作成する
贈与契約書の作成義務はありませんが、当事者間の意思確認や証拠書類として残りますので作成することをお勧めします。

また、自分の口座から相手の口座に振り込むなどして、贈与の事実を明確にします。贈与を受けた者は、自己の通帳・印鑑は自分で保管するようにします。

 

④基礎控除額(110万円)を超える贈与をして贈与税を支払う
基礎控除額をわずかに超える贈与額の範囲で贈与税を支払い、贈与の事実を税務署に
認識してもらい、後々のトラブルを防ぐ。

 

⑤孫への贈与などを活用する
贈与対象者を孫とすれば、相続税の課税を一度免れることができます。

 

Q,暦年課税贈与の活用でどれくらい節税できるのか

例を挙げて節税効果を確認してみましょう。

<例題の前提条件>
< 父親の財産1億円を相続した母親が死亡(※)し、相続人が子供1人の場合
※母親が10年後に死亡したと仮定>

●相続税対策をしない場合

相続税額=10,000万円―3,600万円(基礎控除)×30%-700万円=1,220万円

 

●暦年贈与等の対策をした場合

(例題1)暦年贈与課税110万円を10年間贈与した場合
・相続財産=10000万円―1100万円=8900万円
・相続税額=8900万円―3600万円×30%-700万円=890万円
・節税効果=1220万円―890万円=330万円

 

(例題2)贈与税を支払い、年300万円の贈与を受ける
・相続財産=10000万円―3000万円=7000万円
・相続税額=7000万円―3600万円×20%-200万円=480万円
・贈与税額=((300万円-110万円)×15%-10万円)×10年≒190万円
・課税総額=相続税額+贈与税額=480万円+190万円=670万円
・節税効果=1220万円―670万円=550万円

この事例1と2の場合は、節税効果は大きなものになりますが、相続人が配偶者+複数の子供等の事例の場合は、配偶者特例等の適用で節税効果が大きく異なりますので注意が必要です。

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