迷う「退職金」の受け取り方
老後の生活を支える資金として年金と退職金があります。
退職金は企業により、一時金のみ、確定給付など企業年金のみ、それぞれの併用の3つに分かれます。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、退職金の受け取り方法は、多い順に全額一時金での受け取る、全額年金で受け取る、一時金と年金の併用の順で、6割近くが全額一時金の受け取りを選択するようです。
一時金受取の方が、年金での受け取りより税制上有利とされていることが指摘されており、上記の調査結果にも影響していると思われます。
<退職金の受け取り方>
受け取り方 | 一時金 | 年金 | |
仕組み | 退職時に一括で受け取る | 定期的に分割で受け取る | |
特徴や 注意点 |
ライフプラン | 多額の資金(ローン等)ニーズに対応 | 老後資金の計画的な取り崩し |
税制面 | 退職所得控除の対象、 他の所得との分離課税 |
公的年金控除の対象、 他の所得との合算課税 |
|
収益面 | 預金の金利や金融商品 の運用利回り等 |
企業年金の給付利回り | |
安全・信用リスク | 受取後の消費・盗難 リスク |
給付減額されるリスク |
<税金や社会保険料の違い>
受け取り方 | 一時金 | 年金 |
所得税の区分 | 退職所得=(一時金額―退職所得控除(注1))×1/2 | 雑所得=年金額―公的年金等控除額 |
社会保険料 | かからない | ・国民健康保険料・介護保険料の対象 |
(注1)退職所得控除
・勤続20年まで1年あたり40万円
・勤続21年以降は1年あたり70万円
年金で受け取るべきか一時金で受け取るべきか、退職後のライフプランにおいて悩ましい問題ですが、一時金・年金の併用も考慮し、老後のライフプランの検証が大事になります。
2021年12月4日