厚年基金廃止議論「基金制度①」

以下は厚生年金基金制度の概要です。

<基金の特色>

  1. 厚生年金基金は、厚生年金保険の給付の一部を代行し、さらに独自の上乗せ給付を行う。
  2. 国に納付していた代行部分(報酬比例部分相当)の保険料が免除され、代わりに基金に納付する。基金は、徴収した代行部分の原資と独自給付に充てる原資を運用し給付に 充てる。
  3. 企業が特別法人の基金を設立し、その基金が主体となって制度を運営管理する。

<基金の利点>

  1. 国の老齢厚生年金のうち、再評価・スライド分を除いた報酬比例部分の給付を国に代わって行い、厚生年金保険の給付のうち、事前積立が可能な部分を代行できる。
  2. 基金が独自に設計した上乗せ年金を、代行部分と共に支給するので、国よりも手厚い給付が可能になる。

<基金の設立形態>
基金の設立形態は、「単独設立」、「連合設立」、「総合設立」の3つの形態があります。

(1)単独設立
企業が単独で設立するもので、大企業の単独設立が代表的なものです。
常時雇用される者が1,000人以上であること。 (ただし、平成17年4月以前に設立された基金が合併・分割したことにより設立された基金の場合は500人以上)

(2)連合設立
複数のグループ企業(認定要件あり)が共同で設立するもの。
常時雇用される者が1,000人以上であること。 (ただし、平成17年4月以前に設立された基金が合併・分割したことにより設立された基金の場合は800人以上)

(3)総合設立
業界団体等の組織母体、健康保険組合を中心に、共同で設立するもの(※)。
常時雇用される者が1,000人以上であること。 (ただし、平成17年4月以前に設立された基金が合併・分割したことにより設立された基金の場合は800人以上)
(※)基金を設立しようとする企業に対し、強力な指導統制力を有する組織母体また当該企業で構成されている健康保険組合があり、それらの運営状況が健全かつ良好であることが必要。

(ポイント)
半数の基金が代行割れの財政的に厳しい状況におかれているのが総合設立型の基金で、なかでもトラック、タクシー業界などの構造不況業種が最も厳しい状況におかれています。

次回は、厚生年金基金制度の掛金、給付について掲載予定です。
(2013.2.7)