年金改革関連法案「中小向け企業年金拡大」

2020年3月に提出された「年金改革関連法案」では、中小企業向け私的年金の確定拠出年金の拡充案が盛り込まれ、企業の対象範囲の拡大と従業員規模要件の緩和等、制度を普及させる施策が盛り込まれています。

 

確定拠出型年金には企業が掛け金を出し、加入する従業員が運用方法を選ぶ「企業型DC」と加入者自らが掛け金を支払う「個人型DC」の「iDeCo(イデコ)」があり、拠出金額は確定していますが受給額は運用次第で変動するものです。

 

現在、企業型には約720万人が加入する一方、イデコの加入者は約140万人と少なく、今回の改正では、「iDeCo+(イデコプラス)」(中小事業主掛金納付制度)を利用できる範囲の拡大も盛り込まれています。

 

<主な改正事項>

改正項目 改正内容
企業型DCの加入要件見直し(A) ・60歳以降の同一事業所要件の廃止
・加入可能年齢が65歳より70歳未満に引上げ
iDeCoの加入可能要件の見直し(A) 加入可能年齢が60歳から65歳に引上げ
受給開始時期の拡大(B) 企業型、iDeCo共に受給開始時期の選択範囲が、60歳~70歳から60歳~75歳の間に拡大
中小企業向け制度の対象範囲の拡大(A) 中小企業向けの簡易型DC及びiDeCoプラスについて、従業員規模が現行の100人以下から300人以下に拡大されます
企業型DC加入者の
iDeCo加入要件緩和(D)
規約の定め等がなくても、全体拠出限度額から事業主掛金を控除した残余の範囲内でiDeCoに加入可能に要件緩和
ポータビリティ(C) 退職等に伴う企業型DCから通算企業年金
(企業年金連合会)への移管が可能になります

【改正法案の施行日】
(A)公布日から6ヶ月を超えない範囲で政令で定める日
(B)2022年4月1日
(C)2022年5月1日
(D)2022年10月1

 

今回の改正で運用期間が延びて拠出限度が増えれば、受け取る年金額が増える可能性があり、老後の準備のための資金作りにプラスになることを期待したい。

iDeCoを始める人は投資デビューの人が多いと予測されますが、iDeCoはあくまでも投資なので損失があることも念頭に置いて、運用の王道、長期・積み立て・分散投資の基本に沿ったシンプルな運用が大切です。

 

また、iDeCoで積み立てた資産は原則60歳まで引き出せないため、住宅購入や教育費などのまとまったお金が必要となる可能性を考慮した運用を考えるのが望ましいです。