厚年基金廃止議論「廃止の経緯」

AIJ投資顧問による年金消失問題は、積立不足を高利回り運用で挽回しようとする 厚生年金基金の運用実態を浮き彫りにさせました。

ET132_L_jimusho_brまた、現在存続しいている総合型 厚生年基金の半数が、解散時に必要な国に返納を必要とする責任準備金の積立不足に陥り、解散しようにも解散できないという最悪な状況にあります。

国から預かって運用する「代行部分」の積立金があるべき水準を下回る「代行割れ」は、厚生年金の信頼性を揺るがしかねない大きな問題です。

ご存知のように厚生年金基金は、将来の年金額をあらかじめ決めておく確定給付型企業年金の一種で、独自の企業年金に加えて厚生年金の一部(代行部分)を国から預かり、この原資を基に投資運用するものです。

バブル崩壊や、リーマンショックなどによる投資環境の悪化が財政難の大きな要因の一つですが、 高リスク運用での失敗や投資運用管理の杜撰さなど基金のモラルの問題も存在します。また、 基金により年金受給者比率が高く財政維持が困難に陥っている基金もみられます。

AIJ投資顧問による年金消失問題で残された総合型の厚生年金基金の問題がクローズアップ しましたが、以前から基金の財政問題は課題にあがり制度の手直しを繰り返してきましたが、 抜本的な制度改革には至っていませんでした。

厚生労働省は、今回の問題をうけ平成24年10月時に厚生年金基金を10年で廃止する案をまとめましたが、財政的に健全な基金の反対や、最終的に解散基金の負債を厚生年金保険料で穴埋めせざるをえない場合の問題等も残ります。

来年の国会での成立を考えているようですが自民党は反対の意向のようで、次期政権により左右されそうです。

いずれにせよ、基金の財政難の問題は放置できないところまで来ているため、代替え案を含め次期政権に期待するところが大です。

今後、基金の実態から基金解散後の企業年金、現状の企業年金の動向までシリーズ掲載を予定しています。廃止案後の経緯は、今後の進捗をみてシリーズの中で掲載したいとおもいます。
(2012.12.27)