新型コロナ対策「雇用調整助成金」特例措置拡大
雇用調整助成金は、経済上の理由(※)により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を計った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、すでに雇用調整助成金には特例措置が設けられていましたが、更に経済対策強化の一貫として特例措置の拡大が令和2年4月1日から実施されます。
【※経済上の理由例】
- 取引先が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて事業活動を縮小した結果、受注量が減り事業活動が縮小した場合。
- 行政からの営業活動自粛要請を受け、自主的に休業を行い事業活動が縮小した場合。
- 市民活動が自粛されたことにより、客数が減った場合。
- 風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った場合。
- 労働者が感染症を発症し、自主的に事業所を閉鎖したことにより、事業活動が縮小した場合。
<雇用調整助成金の特例措置と新たに実施される緊急対応措置>(5月22日時点)
特例以外の場合の 雇用調整助成金 |
新型コロナウイルス感染症特例措置 | |
現行 | 緊急対応措置期間 (4月1日~6月30日まで) |
|
経済上の理由により 事業活動の縮小を余儀なくされた事業主 |
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種) | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種) |
生産指標要件 3か月10%以上低下 |
生産指標要件 1か月10%以上低下 |
生産指標要件 1か月5%以上減少 |
被保険者が対象 | 据え置き | 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める |
助成率 中小企業:2/3 大企業:1/2 |
据え置き | 中小企業:4/5 大企業:2/3 (注1) |
計画書は事前提出 | 計画書の事後提出を認める(1月24日~5月31日まで) | 計画書の事後提出を認める(1月24日~6月30日まで) 5月19日からは提出不要 |
1年のクーリング期間が必要 | クーリング期間の撤廃 | クーリング期間の撤廃 |
6ヶ月以上の被保険者期間が必要 | 被保険者期間要件の撤廃 | 被保険者期間要件の撤廃 |
支給限度日数 1年100日 3年150日 |
同左 | 同左+上記対象期間 |
休業規模要件 | ・短時間一斉休業のみ ・休業規模要件 1/20(中小) |
・短期間休業要件緩和 ・休業規模要件緩和 1/40(中小) |
残業相殺 | 残業相殺 | 残業相殺を停止 |
教育訓練 | ・助成率 2/3(中小) ・加算額1,200円 |
・助成率 4/5(中小) (解雇等を行わない場合 9/10又は10/10) ・加算額 2,400円 (中小) |
※赤字は緊急対応期間の拡大措置。ピンク色はその後に実施された追加拡大措置。
(注1)解雇等を行わない場合は、9/10又は10/10(中小企業)3/4(大企業)
※上記の拡充措置の外に以下の措置を講じています
- 短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止、支給迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化を行っています。
- 教育訓練が必要な被保険者について、教育訓練の内容に応じて、加算額を引き上げる措置を別途講じられています。
※また、急遽以下の措置がとられています。
- 自宅でのインターネット等を用いた教育訓練等にも教育訓練の範囲が大幅に拡大されますす。
- 生産指標の要件が10%から5%に緩和されます。
- 上記期間内に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用できるようになりました。
- 雇用保険の被保険者でない労働者(週20時間未満のパート・アルバイト等)も対象になりました。
<申請先・相談先>
所在地管轄の都道府県労働局・ハロワーク
申請手続きが煩雑で複雑との意見が多く、特例措置に関する申請書類については、記載事項の半減や簡素化、添付書類の削減等、大幅に簡素化されました。
・5月19日より「計画書」の提出は不要になりました。
・その他、売上等は既存の書類の写しで、出勤簿やタイムカードなども写しで可能になるなど大幅に簡略化されています。
(厚生労働省のホームページに簡素化された内容が分かりやすく記載されています)