改正DC法「その背景と改正概要」

確定拠出年金(DC)法が改正され2017年1月より施行されます。

 

gum05_ph02071_burogu_br_2今回のDC法改正の背景には、公的年金の支給水準の縮小がみられる中、自助努力による老後資金準備の重要性が高まっていることにあります。

 

今回の改正事項は多義にわたりますが
、その中で最も注目されるのが個人型DCの加入対象者の拡大と「ポータビリティ」の拡大です。

これまでは、自営業者や企業年金のない企業に勤めている会社員しか認められなかったものが、企業年金のある会社員や公務員、専業主婦にも加入資格が与えられることになります。

 

このことにより、日本の現役世代のほぼ全員がDCでの老後資産作りに取り組めるようになりました。

企業も個人も、DCの最大限のメリットである「強力な税制優遇制度(※)」を最大限に活かして、資産形成に取り組めることになります。
(※)「掛金は全額所得控除」「運用益には税金がかからない」「一時金受取には退職所得控除を適用」

 

今回の改正で、100人以下の中小企業を対象に「小規模事業主掛金納付制度」の施行もあり中小企業従業員の老後資産作りにも影響を及ぼすものと考えます。

 

<個人型確定拠出年金の加入範囲>

本人拠出
今まで 2017年1月からの拠出限度額 利用可能人数
会社員
(企業型DCあり)
マッチング拠出で
可能
月額2.0万円
(年24万円)(注1)
550万人
会社員
(企業型DCとDBあり)
マッチング拠出に
より可能
月額1.2万円
(年14.4万円)(注2)
会社員
(確定給付型企業年金あり)
不可 月額1.2万円
(年14.4万円)
1,049万人
会社員
(企業年金等がない)
月額2.3万円
(年27.6万円)
月額2.3万円
(年27.6万円)
約2,000万人
公務員 不可 月額1.2万円
(年14.4万円)
441万人
自営業者等
(第一号被保険者)
月額6.8万円
(年81.6万円)
月額6.8万円
(年81.6万円)
1,742万人
専業主婦
(第3号被保険者)
不可 月額2.3万円
(年27.6万円)
932万人

注1:マッチング拠出を実施している場合は利用不可です。また個人型DCを認める場合は、企業型DCの拠出限度額が年24万円引き下げられます。

注2:マッチング拠出を実施している場合は利用不可です。個人型DCを認める場合は、企業型DCの拠出限度額が年14.4万円引き下げられます。

注3:利用可能人数は、公務員・自営業者等。専業主婦は平成26年末、企業年金なし以外の会社員は平成27年末のデータです。

 

上記の改正によれば、企業年金(DC,DB)ありの場合、月額1万2000円の拠出限度額を仮に30歳から60歳まで拠出し続けた場合、元本は432万円となります。

ここから運用による増加が見込めるものの、希望する老後生活が送れるか、公的年金額
も考えた資産準備も大切になります。