個人型確定拠出年金の魅力

企業年金のない会社員(※)や自営業者にとって、老後資金作りに活用できる制度の一つに個人型確定拠出年金があります。少額投資非課税制度(NISA)もありますが、税制面で手厚い確定拠出年金が注目を集めています。
(※)会社員が加入できるのは、勤務先に厚生年金基金や企業型確定拠出年金などの制度がない場合です。

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Q,個人型確定拠出年金のメリットとは
以下の手厚い税制面の優遇を受けることが出来ます。

  1. 掛金全額が所得控除の対象になります
    例えば、年収500万円の人が毎月1万円を拠出した場合、年間2.4万円の税負担が軽減されます。
  2. 利息や収益分配金などの運用益が非課税となります
    通常は20%課税される預貯金の利子や投資信託の収益分配金などの運用益も非課税扱いになります。
  3. 将来受け取る給付でも各種税額控除が適用されます
    一時金で受け取る場合には、退職所得控除が適応され、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適応されます。

 

Q,個人型確定拠出年金で注意すべきことは
税制面でメリットの大きい制度ですが、以下の点を理解して慎重に検討しましょう。

  • 転職時に積み立てた資産を移換できない場合があります
    転職先に企業型確定拠出年金がない場合や、他の確定給付企業年金がある場合は資産を移せません。この場合、個人型確定拠出年金の加入資格を失い追加拠出もできなくなります。その他結婚して専業主婦になったり公務員になったりした場合も同様です。
  • 個人型確定拠出年金に加入すると原則60歳まで払い戻しができません
    将来一時的に多額の現金が必要になった場合、原則60歳までは払い戻しができません。資格を失って脱退した人が受け取れる一時金は、通算拠出期間が3年以下または資産額が50万円以下という制約がありますので注意しましょう。

このように追加拠出が出来ないと、それまでの資産の運用を指図する「運用指図者」になりますが節税メリットの減少や、金融機関に支払う口座手数料などの負担が増えます

Q,個人型確定拠出年金とNISAとの違いは
税制面では個人型確定拠出年金には及びませんが、いつでも引き出せるメリットのあるNISAとの違いを示します。

個人型確定拠出年金

NISA

対象者 ・自営業者等(国年第一号被保険者)
・企業年金のない会社員
20歳以上の居住者
運用対象 預貯金や投資信託など 株や投資信託など
掛金の所得控除 全額控除 なし
その他税制優遇 ・運用期間中は非課税
・給付時は、退職所得控除や
公的年金等控除
年100万円、最大500万円の投資
運用益が非課税。期間最長10年。
(額の拡大の改正検討中)
引き出し期間 原則60歳以上 いつでも可

老後まで使わない余裕資金は個人型確定拠出年金、教育・住宅等の資金で利用する予定のある場合はNISAという利用の方法もありますが、制度をよく理解して利用しましょう。いずれにしても投資信託などの資産運用の知識が必要になります。