給与に影響する「在職老齢年金制度」

世代問題研究プロジェクトの調査によれば、60歳超の年金受給世代の再雇用者で、厚生年金加入者の給与額と年金額との関連が浮き彫りになるデータが出ています。

 

FB111_L_burogu_br年金受給開始1年前の総報酬月額(ボーナス込みの賃金)の平均は43万円(ばらつきが大きい中で)でしたが、年金受給開始となった途端、総報酬月額の平均は18万円程度に急減しています。データでは、20万円未満の人が57%と過半を占めています。

 

この場合、受給開始後の年金の基本月額は平均で11万円となり、15万円未満が86%を占めています。

さらに、総報酬と年金を合わせた合計月額は、20万円以上28万円以下が38%と最も大きな比率を占めています。

 

年金を減額なしで受給するために総報酬月額を下方に調整し、結果的に「総報酬+年金給付」の合計月額を28万円以内(※)に抑えた人が多かったようです。
(※)65歳前の「在職老齢年金制度」では、「総報酬月額+年金月額」の合計月額が28万円を超えた場合は、超えた額の1/2の額が年金額から減額される制度です。

 

この「在職老齢年金制度」の創設目的は、年金を通じて低賃金労働者へ賃金を補助することにあり、一定額以上の賃金を稼ぐ人については年金受給を抑制するものです。

一部企業の中には、この賃金補助機能に着目し、年金による賃金補助額が最大になるように支払賃金を決めているケースが散見されます。

 

年金相談時にも、再雇用時の賃金を決めるために、年金見込額を聞いてくるようにと事業主から言われたとして相談にこられます。

上記のケースは別として、「在職老齢年金制度」は就労意欲向上を考慮した場合、28万円の縛りを65歳以上に適用する47万円にするとか、制度そのものを廃止することも検討されるべきと思われます。

 

人生100歳時代がクローズアップされた令和元年に、高齢者の労働意欲を抑制するこの「在職老齢年金制度」の改定・廃止を検討したようですが見送られています。