被用者年金一元化「年金額への影響②」

<在職老齢年金への影響>
在職老齢年金は、年金受給者が厚生年金等の被用者年金の被保険者になると、年金受給額と給与等(※)の合算額により年金額が一部または全部が支給停止になる制度です。
GUM05_PH05001_burogu_br※賞与がある場合は1年前までに支給された賞与の合算を12で割った額を加算します。

一元化前でも、退職共済年金受給者が60歳以降厚生年金に加入し在職老齢年金制度の適用を受けるケースが多くありますが、一元化後は内容が変更されています。

以下は在職共済年金、在職老齢年金の一元化前後の比較です。

 

□一元化前後の在職共済年金の支給停止

共済年金の受給者

現行制度

一元化後

厚生年金に加入 65歳未満 高在老 低在老
65歳以上 高在老 高在老
共済年金に加入 65歳未満 低在老 厚生年金に統一
65歳以上 低在老

□一元化前後の在職老齢年金の支給停止

共済年金の受給者

現行制度

一元化後

厚生年金に加入 65歳未満 低在老 低在老
65歳以上 高在老 高在老
共済年金に加入 65歳未満 停止なし 厚生年金に統一
65歳以上 停止なし

(低在老)65歳未満の受給者に適用される在職老齢年金
(高在老)65歳以上の受給者に適用される在職老齢年金
※一元化をまたいで在職している受給者の場合は、「激変緩和措置」が適用され、支給停止額が調整されます。

一元化後の在職老齢年金の支給停止の方法は以下の手順で計算されます。
①共済年金と厚生年金の基本月額を合算する。
②合算した基本月額と総報酬月額相当額で、支給停止額を計算する。
③計算された支給停止額を、共済年金の基本月額の額と厚生年金の基本月額の額で按分して、共済年金、厚生年金それぞれの支給停止額を算出する。

 

(例題)共済年金の基本月額8万円、厚生年金の基本月額4万円、総報酬月額相当額22万円(65歳未満の方)
①合算した基本月額=8万円+4万円=12万円
②支給停止額=(総報酬月額相当額22万円+合算した基本月額12万円―28万円)×1/2=3万円
③支給停止額
・共済年金の支給停止額=3万円×8/12=2万円
・厚生年金の支給停止額=3万円×4/12=1万円

 

<年金額の端数処理への影響>
一元化前の老齢厚生年金額は、100円単位(50円未満切り捨て、50円以上100円未満は切上げ)でしたが、一元化後は1円単位になります。

一元化施行前の平成27年10月1日前から年金受給している方は、従来の100円単位で変更ありません。一元化後に受給権を取得した方や、年金額の額改定があった方が適用されます。

100円単位で変更ない方も、平成18年4月分から年金額が変更された場合は、1円単位となります。

老齢基礎年金の満額や、加給年金・振替加算は一元化後も100円単位のままです。