厚年基金廃止議論「制度改革法成立」

AIJ事件をきっかけに表面化した厚生年金基金制度の「代行割れ」の問題に対応するために、厚生年金基金制度の改革法が6月19日に成立し、平成26年4月施行の見通しです。

PHM11_0719_jimusho_br基金の新設は認めず、既存の基金は解散か他の企業年金への移行が求められます。一定の基準を満たす1割の基金の存続は認められていますが、財政が深刻な基金を5年以内に解散させ、母体企業に代行部分を変換させるとしています。

またそれ以外の基金も、基準を下回れば厚生労働大臣が解散命令を出せるとしています。約560ある基金のほぼ9割が廃止となる見込みです。

<改正の主なポイント>

  1. 解散に必要な代議員会の議決要件を現在の4分の3以上から3分の2以上に緩和。
  2. 解散認定基準で規定されている事業主や加入員の同意数の見直し。
  3. 母体企業の経営悪化といった理由要件の廃止。
  4. 施行後5年間は、基金が保有する純資産額が最低責任準備金を下回る代行割れ基金に解散を促すため、特例解散制度を見直す。
  5. 基金が特例解散の申請までに、政令で定める相当な努力をしたとして厚生労働大臣の認定を受けた場合、納付額の特例が認められる。
  6. 納付猶予の特例では、連帯債務を外して事業所ごとに債務を確定し、利息を計算する利率も解散した年度の国債利回りに準じた率となる。
  7. 申請日までに厚生労働大臣から認定を受けた場合は、5年(やむを得ない場合は10年)の分割納付が受けられる。
  8. 代行部分の資産保全のため、特例解散の申請や、清算型基金の指定を受けた時点で、年金受給者の上乗せ部分の給付は支給停止となる。

その他、施行後5年経過後に存続する厚生年金基金について代行割れを起こさない積立水準を設定しています。

上記の改正点は、基金の解散を阻害してきた大きな要因でもあり、改正により解散のハードルがより低くなりました。
(2013年8月5日)