厚年基金廃止議論「基金の実態」

企業年金基金は、ピーク時には1860の基金がありましたが、2012年3月時点では577基金にまで減少しており、加入者数は440万人で、資産残高は約27兆円と なっています。現在残っている基金のほとんどが、主にトラックやタクシーなどの中小企業が集まって創設した総合型基金となっています。

ET182_L_1モデルケースの給付では、企業年金部分で月額8千円、代行部分で月額3万円が基金から支給されています。

残存基金の半数は母体企業が構造不況業種で、最低責任準備金の積立不足を穴埋めする体力に貧しい状態にあり、基金が国から預かっている資産で損失を抱える代行割れの状況です。

積立不足は約1.1兆円にもなり、現役社員の保険料を上げることもできず、行き詰まり状態にあります。このような状況時に、AIJ問題が発覚し、母体企業のガバナンス意識の希薄さも浮き彫りにされました。

一方、残された基金の半数は、積立不足がない健全な基金で、厚生労働省の基金廃止案には抵抗が強く、業界団体の企業年金連合会は厚生労働省の廃止案に強く反対しています。

実際に、健全な基金に勤めていた職員の間には、廃止案が報道されるや職場に激震が走ったと聞いています。